みんなの小さな光

小さな記録がくれた、見落としていた希望の光

Tags: 記録, 希望, 心のケア, セルフケア, 小さな光

体調が優れない日々が続くと、先の見えない不安に心が閉ざされてしまうことがあります。毎日の体調の波に一喜一憂し、何も成し遂げられていないように感じたり、自分自身の変化に気づけなくなったりすることも少なくありません。辛い状況の中にいると、どうしてもネガティブな側面にばかり目が行きがちになるものです。

かつて私も、そのようなトンネルの中にいるような時期がありました。何をしていても体調が安定せず、今日できたことが明日には全くできなくなる、そんな状況でした。このまま自分はどうなってしまうのだろうか、という漠然とした不安が常に胸の内にありました。そんな時、ふと「何か、今日を振り返って残せるものはないだろうか」と考えました。何か特別なことではなくても、ほんの小さなことでも、形に残せたら少しは違うかもしれない、と思ったのです。それが、体調やその日の出来事を簡単に記録し始めたきっかけでした。

最初は、本当に短い言葉で、体調が「悪い」とか「少しだけ良い」とか、それくらいしか書けませんでした。他に書くことなんて何もない、と感じていたからです。食べたもの、少しだけできた家事、誰かとの短いやり取りなど、項目を決めず、思いつくままに、あるいは書ける時にだけ書く、というゆるやかなルールで続けました。

数日、数週間と続けるうちに、あることに気づき始めました。体調の波には、自分では意識していなかったパターンがあるかもしれない、ということ。そして、全く何もできなかったと思っていた日でも、たった一つでも「できたこと」や、心に留まった「小さな出来事」があるということでした。

例えば、ひどく倦怠感が強かった日でも、「ベランダで少しだけ日差しを浴びた」「温かい飲み物をゆっくり味わった」といった些細な記録が残っていました。元気だった頃の自分から見れば、あまりに小さすぎる出来事です。でも、その時の自分にとっては、それが精一杯の行動でした。記録を見返すことで、「あの時、自分はこんな小さなことでもやってみようとしていたんだな」と気づくことができました。

また、特に何かをしたわけではないけれど、誰かからのメッセージに心が温かくなったことや、窓の外の景色がきれいだったことに気づいた、といった心の動きも書き留めるようにしました。すると、体調が優れない日でも、完全に心が沈んでいたわけではない、ということが記録として残るようになりました。

これらの「小さな記録」は、体調の悪さを否定するものではありませんでした。むしろ、辛い状態の自分をそのまま受け入れつつ、その中で見つけられた、あるいは見落としていた「小さな光」をそっと掬い上げるような作業でした。記録があることで、体調の波に感情が振り回されにくくなり、過去の自分の記録から「こんな日もあったけれど、乗り越えられたな」と感じることも増えました。

記録を続けることは、決して簡単なことばかりではありませんでした。書く気力がない日、何も書くことがないように思える日もありました。それでも、自分を責めずに、書ける時に書く、書けない日は無理しない、という姿勢で続けることが大切だと感じました。

日々の記録は、まるで自分の足跡を記していくようなものです。立ち止まっているように感じていた時も、実はわずかでも前に進んでいたこと、あるいは少なくとも、その場で懸命に耐えていたことを教えてくれます。そして、過去の自分が残した「小さな光」の記録は、今の自分を励まし、未来への小さな希望を灯してくれる温かいメッセージとなります。

体調不良と向き合う道のりは、一人ひとり異なります。劇的な回復ばかりではなく、ゆっくりと、あるいは波を描きながら進んでいくものです。そんな中で、自分自身の「小さな記録」を振り返ることは、見落としていた希望の光に気づき、今の自分を肯定するための大切な時間になるかもしれません。そして、この「みんなの小さな光」のサイトで、それぞれの見つけた小さな光を共有し合うことは、互いの道を照らし合うことに繋がるのではないかと感じています。