みんなの小さな光

ページをめくるたびに見つけた、心の小さな光

Tags: 読書, 心の安らぎ, 希望, 回復期, 体調不良

何も手につかない日々の中で

体調を崩してからというもの、それまで当たり前だった日常が遠いものになってしまいました。以前は好きだったテレビ番組を見る気力も起きず、スマートフォンを触るのも億劫に感じることが多くありました。ただ、時間が過ぎていくのをじっと待っているような、そんな日々でした。

心のどこかでは、「何かしたい」「このままではいけない」という気持ちもありましたが、体がついてきません。思考もまとまらず、先のことばかり考えては不安になるばかりでした。そんな出口の見えないトンネルの中にいるような感覚でした。

一冊の本との出会い

ある日、少しだけ体調が良い時間がありました。ベッドの脇に積まれたままになっていた本の山が目に入りました。体調を崩す前に、「いつか読もう」と思って買っておいた本たちです。どれもこれも、今の自分には難しすぎるように感じましたが、その中の一冊がなぜか気になりました。難しい内容のものではなく、どちらかといえば、ゆったりとしたペースで読めるような物語でした。

手に取ってみても、すぐに集中できるわけではありませんでした。数行読んだだけで、内容が頭に入ってこなかったり、疲れてしまったりしました。それでも、無理強いはせず、読める時に、読める分だけページをめくることにしました。

最初は、本当に数ページでした。それでも、その数ページの中に描かれた別の世界に触れることが、閉じこもりがちな私の日常に、かすかな風を吹き込んでくれたように感じました。物語の情景を想像する時間は、現実の辛さを一時的に忘れさせてくれる、貴重な逃避行のようでした。

ページの中に見つけた希望

読み進めるうちに、少しずつ、物語の世界に没頭できるようになっていきました。登場人物たちの言葉や行動に、共感したり、励まされたりすることがありました。特に、困難な状況でも前を向こうとする姿に触れるたびに、心の奥に小さな光が灯るのを感じました。

また、物語とは別に、知識を得るための本を読んだこともあります。すぐに役立つものではないかもしれませんが、新しい視点を与えてくれたり、知的好奇心を満たしてくれたりしました。未来への漠然とした不安が、少しだけ具体的な「学びたいこと」や「知りたいこと」に変わり、ほんのわずかですが、前向きな気持ちになれた瞬間がありました。

そして何よりも、「本を読む」という、かつては当たり前だった、でも体調を崩してからは難しいと感じていた行為が、「今の自分にもできること」だと気づけたことが大きな希望となりました。一日に数ページでも、読み終えた時の小さな達成感が、「これで良いのだ」「少しずつでも進めている」という自信に繋がりました。

小さな一歩が道を照らす

読書は、体力がなくても、寝たきりの状態でも、自分のペースで進められる活動です。特別な道具も必要なく、手軽に始められます。物語の世界に心を遊ばせることで、現実の辛さから距離を置き、心を休めることもできます。また、登場人物の言葉や新しい知識は、閉ざされた心をそっと開いてくれる鍵となることもあります。

体調不良の日々は、思うようにいかないことばかりで、自信を失いがちです。しかし、ページをめくるという小さな一歩でも、それを続けることで、やがて一冊の本を読み終えるという達成感につながります。それは、「自分にもできることがある」という確かな希望の光となるでしょう。

このサイトには、体調不良と向き合う中で見つけた、たくさんの「小さな光」の物語が集まっています。他の人の体験に触れることも、また別の場所で希望の光を見つけるきっかけとなるかもしれません。